映画「ゴルゴ13」1973年 ~高倉健さん主演~

映画から学ぶ

世界の裏社会を扱ったアニメといえば多くの人が「ゴルゴ13」をあげると思います。世界の超一流のスナイパーかつ暗殺者のゴルゴ13(ゴルゴ サーティーン)が主役で世界のいろいろな組織から高額で暗殺の依頼を受け、100%その依頼を実行します。冷血で無感情、国籍不明です。アニメは国際社会の問題を扱うことが多く、社会勉強にも有用です。

高倉健さん主演

アニメの著者さいとう・たかをさんは、映画化には乗り気ではなかったということで、制作会社が諦めることを期待して、主演が高倉健さんだったらOKという条件を出したそうです。この作品を書き始めたころは、ゴルゴ13は高倉健さんをイメージしていたそうです。この条件がクリヤーされ、映画化が実現しました。

アニメ上のゴルゴ13は、確かに健さんに似ています。この映画をみたときに良い配役だと思ったのですが、実はアニメのモデルが健さんと順番が逆だったようです。

映画のストーリーはイランが舞台ですが、ロケの多くは実際にイランで行われたようです。1970年台の中東の記録のような要素もあり、個人的にはとても貴重な動画記録ではないかと考えています。

宮崎県民(の一部)にとっての高倉健さんのイメージは「タンシチュー」です。先日も宮崎のテレビ番組で、健さんが2014年にCM撮影で小林市を訪れたときに毎日「グルマンハウス ふじや」のタンシチューを食べに通ったというエピソードが紹介されていました。

ギランバレー症候群

主役のゴルゴ13は、ときどき手先に違和感を感じるシーンがあります(アニメにて)。診断は「ギランバレー症候群 Guillain-Barre症候群?」とあります。GolgoのGと掛けたのかもしれません。

ただ、ギランバレー症候群は急性の一過性の経過で、再発することはめったにありません。なので再発を繰り返す場合は異なる診断になるようです。全編を通して数回以上手にしびれのような症状が出現しますが、ちょっと違和感を感じます。ギランバレー症候群と症状が似ている慢性再発型の「慢性炎症性脱髄性多発神経炎 CIDP」ではないかと考えられます。

専門家の意見では、ギランバレー症候群に一度かかるとその後遺症でときどき症状が顕在化することもあるようで、大原麗子さんもギランバレー症候群の後遺症で苦んだと報道されています。「ギランバレー症候群 + 後遺症」と「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」との区別は経過を診ないと難しいときもあるようです。ゴルゴ13が一つに医療機関に継続して複数回受診することは考えにくく、そのために診断が難しかったのかもしれません。

無感情と人間味

アニメの中のゴルゴ13は、冷血で無感情で、表情はほとんど表に出すことはありません。映画の健さんはもちろんアニメの設定を考慮してゴルゴ13を完璧に演じています。しかしながら見ている側(私)にとってみると、人間味あふれる健さんを他の映画で十分に知っているので、無感情な表情であっても「心のどこか」で最大限の人間味溢れる感情を持っているような気になってしまいます。

実際に、映画の中でも細かい部分では「人間味」を感じさせるシーンがちりばめられています。製作者側の心憎いアレンジだと考えます。

中国古典の菜根譚の中でも、「心の中の状態は外見に現れる」との記載があり、400年以上前から「人間味は、細かい仕草に現れる」と断定されています。映画の中の健さんもまさに心の中の状態が外面の人間味に現れたのではないかと考えられます。また、映画製作者サイドもそれを否定することなく、うまく映画の中でレイアウトしたと感じました。