映画「リセット」2011年 ~息子への愛が母子を立ち直らせる~

映画から学ぶ

映画「リセット」は原題は「Bringing up Bobby」(アメリカ)で、監督は女優ファムケ・ヤンセン(Famke Janssen、オランダ)、主演はミラ・ジョボヴィッチ(Milla Jovovich、ウクライナ)です。ミラ・ジョボヴィッチといえば、バイオハザードシリーズで女戦士のイメージが強いですが、今回はダメダメだけと息子を溺愛する母親を演じます。分類はコメディードラマです。

ウクライナからの移民

ウクライナからの移民であるオリーブは、10歳のひとり息子ボビーを引き連れ、行く先々で詐欺を働きながら各地を渡り歩きます。オクラホマでそろそろ腰を落ち着けようとしていた矢先、彼女は遂に警察に捕まって刑務所入りします。その間、ボビーの養育は、親切な金持ちのケント夫妻の手に委ねられることになります。出所後、ケント夫妻のもとで元気に成長する息子の姿を見たオリーヴは、元の生活に戻ろうとしますが・・・。

自分と一緒にいると、ボビー堕落した生活になってしまうことを自覚してしまいます。でも、良家のケント夫妻に育てられたならと悩みます。ウクライナの国民一人当たりのGDPは日本の1/10で、世界の国の中では110位以下に相当し、個人差はあるものの相対的には貧しい国に相当します。ウクライナからに限らず、貧しい国からのアメリカへの移民の方は、似たようなテーマに悩むのかもしれません。

監督のヤンセンは、オランダからの移民で、この題材にとても共感したとされています。映画は、オクラホマ州アーケイディアで20日間で撮影されました。

ミラ・ジョボヴィッチの生立ち

ミラ・ジョボヴィッチは、ウクライナの首都キエフに生まれ、父親は医師、母親は女優で、5歳のときにロサンゼルスに移住しました。移住後に両親は離婚し、学校時代はひどいイジメにあったと言われています。

この映画の役柄は、ウクライナからの移民で、アメリカに移住し、息子を医師にしようと何度も言い続けるところが、本来のミラ・ジョボヴィッチと通じる所があります。ミラが主演なので、台本をアレンジしたのかもしれませんが。

映画の題名

原題は「Bringing up Bobby」で、Bobbyという息子の名前が入っています。人の名前が全面に出てくると、映画の内容にとても親しみを感じることができると同時に、鑑賞終了後も印象深くなります。しかしながら、日本において外国の名前が入るとかえって縁遠くなる印象なのかもしれません。「メリーに首ったけ」という名前の映画もありますが、これは例外的なのかもしれません。

この映画の主演はもちろんオリーブ(ミラ・ジョボヴィッチ)です。しかしながら、その主演がいつも心に抱いているのはBobbyで、視聴する側にも一緒にBobbyの将来を考えてほしいという趣旨と思われます。

邦題名は「リセット」で、Bobbyの人生と母親オリーブの人生両者をリセットできないだろうか、という趣旨と思われ、英語の原題名よりもさらに大きく解釈しています。

エンディングを見ますと、人生いくつになっても、「自分が変わりたいと思ったときに、リセットできるよ」というメッセージのように受け取れます。