映画「私の中のあなた」2009年 ~究極の母子愛~

映画から学ぶ

年末・年始の休暇に入る前に、奥さんから推薦映画をいくつかリストしてもらいました。その一つが「私の中のあなた」2009年アメリカの映画です。あらすじに「私の命はオーダーメイド。姉を救うために生まれた」とありました。いつか見た映画「わたしを離さないで」と同様の気が重くなる映画をイメージしました。

今回取り上げる「私の中のあなた」と、以前鑑賞した「わたしを離さないで」を比較するために、まず後者の紹介を少しだけ・・・。

映画「わたしを離さないで」について

「わたしを離さないで」はカズオ・イシグロが2005年に発表した小説を原作として映画(2010年英国)で、人間が病気になった際に、そのダメになった臓器を移植するために「臓器提供用の人間」を養殖するという話です。

「国立提供者プログラム」にて養殖される人間側から見た映画です。ある程度の年齢になると一つ一つの臓器を、移植のために摘出されます。数回提出されると「終了(死亡)」します。臓器提供を得る側と臓器提供のために養殖される側の同じ人間が違うのかということを描きます。

観ていて、なんとも心に引っかかる映画でした。いろいろなことを考えさせる映画で、原作のイシグロさんがノーベル平和賞を受けたことも納得できました。

映画「私の中のあなた」について

この映画「私の中のあなた」は、原作はジョディ・ピコーの小説です。キャメロン・ディアスが出演するので、非人道的な映画ではないと予測していましたが、予測通り「わたしを離さないで」とは全く異なる展開です!

「アナの姉ケイトは2歳のとき、白血病を患います。ケイトの移植のために生まれてきたのがアナでした。アナは、ケイトのために骨髄移植などの犠牲を強いられます。アナが13歳のときに、腎臓移植を要求されます。アナは提供を拒み、弁護士キャンベルを雇います。」

感想と感動のシーン

ケイトがまだ小さな頃、化学療法のために髪の毛がなくなり外出を嫌がります。母・サラが自分も髪の毛を切って、丸坊主になって一緒に外出するシーンがあります。子供が同じ状況ならば自分も同じことをするか、と考えるシーンでした。

和解シーンで、「異常な拘りを持つ母親のサラ」と「疲れ切ったケイト」、この2人の心のやり取りが丁寧に演出されています。

家族の間には根底に愛が流れており、表面上はいがみ合っていても、ときどき出てくる愛情にお互いが相手を尊重するシーンがたびたびでてきます。そのたびに心にグッときます。

機微考察 ~真実の愛がもたらすもの~

以前紹介した映画「ファミリー」と同じく、家族愛に満ちた映画でした。完成度の高い感動の名作でした。

登場人物の全てが、自分の信念に基づいて行動しています。人間誰しもが、迷ったとき他人からの意見、特に自分を非難する意見に心が不安定になります。

相手に対する深い思いやりは、最終的には自分に戻ってきます。現実世界においても、信念に基づいて行動したのであれば、その結果がどのような結末であっても受け入れ、良い方向に昇華できると感じました!

表面上はいろいろとぶつかるところがありますが、心の奥では心が繋がっています。その繋がりが理解できると、登場人物全員が愛おしく感じます。現実の世界でも、心から相手を思いやることができているのであれば、相手を愛おしく感じます!