映画「アクトオブバイオレンス」2018年 ~兄弟愛で難局を乗り切る~

映画から学ぶ

軍人あがりの兄弟2人デクラン、ブランドンとその更に弟ローマンの3人兄弟。デクランは平時の生活に生きがいを見いだせずに、戦争神経症のような状態。ローマンは小さなころから幼馴染として育ったミアとの結婚を控えています。そんな中ミアが誘拐されます。

背景

「誘拐犯は人身売買をしている組織で、警察とのつながりがあり、法律でさばくことができません。軍人上がりの兄弟は果敢に犯罪組織に立ち向かいます。その戦いの中で次兄ブランドンの妻が見せしめのように殺されます。」

犯罪組織が国家権力と結びついて、巨利を得る構造はどこの世界にもあります。日本でも2時間ドラマで、犯人が警察の一部を結託している設定はよくあります。アメリカ映画では警察の上層部全体と結託している(日本に当てはめると)やや不自然な設定が多いような気がします。ただ、結びつけているお金のスケールが違いのかもしれません。

感想

ブルース・ウィルスが警察として出演する映画なので、普通のアクションものと思っておりましたが、それぞれの出演者の心の葛藤の移ろいが丁寧に描かれており、人間味のある奥深い映画でした。ダイ・ハードのような、愛する人を守るために命がけで戦う映画もあれば、善良な市民のために正義を貫くエイブリーの姿勢は、ヒトのあるべき理想像を我々に突き付けているように感じました。

機微考察 ~戦争神経症~

戦争神経症は、過酷な戦闘に参加した兵士が平時に戻ってもいろいろな精神的な問題を生じてしまう症状です。現在でも大きな社会問題となっている心的外傷後ストレス障害 (post traumatic stress disorder, PTSD) の起源となった病態の一つです。もちろんPTSDといっても程度はいろいろですので、日常生活が送れない入院が必要な重症から、一過性軽いうつ症状の軽症もあります。

デクランは、犯罪組織と戦っている間はPTSDの症状は全くありません。おそらく家族の危機に強いアドレナリンが分泌され、過去のことを忘れているのだと思います。

精神的な辛い思いでを乗り越えるには、いくつか方法がありますが、今回のように自分の価値観にそった事象で忙しく行動することは、苦難を乗り越える方法の一つとデール・カーネギー氏もいくつかの著書で記載しています。自分がやりたいことに全力投球が過去を忘れる一つの手法ですね。