2015年公開のイタリアの映画です。優秀で、傲慢な心臓血管外科のトンマーゾ教授は、医師を目指す息子アンドレアだけは自分の心の支えでした。そんなときに、アンドレアが神父になると言いだします。
父と子の関係 → 神父との友情
「トンマーゾは、息子の考えにピエトロ神父がアンドレアに大きく影響していることを知ります。ピエトロ神父の裏側を暴こうとトンマーゾが近づきますが、徐々に2人の間には奇妙な展開の友情が芽生えます。」
感想と薀蓄(うんちく)
キリスト教が日常生活に溶け込んでいることがよくわかります。予想はしていましたがイタリア人は明るい、とにかく明るいです。映画もとても楽しい気分になれます。ロンドンに留学していた時期に数人のイタリア人の友人を思い出しました。多くは明るく、人生を満喫している雰囲気がありました。でも一番仲良くなった友人は、少し無口でシャイでしたが。そんな彼に、日本酒のプレゼントをしたら、すごく喜んでくれて、ジェノバにいる家族で飲んだヨ、と報告してくれました。
映画の中では、いくつかのユーモアが笑えました。ユーモアの中に、夫婦、親子、友情の大切さが主題として流れています。見たあとに”人生捨てたもんじゃない”と実感できる映画でした。
他人を疑うことから始まるこの映画は、人間のどろどろした部分を描くことを予測させます。しかしながら、後半は他人と神様を信じれば幸せになれることを示しています。現代社会では生きぬくためには他人を信用しないという考え方もありますが、他人を信じて協調しながら生活するという姿勢も重要と(少しですが)、考え方を改めました。
機微考察 ~大人になってからの友人~
大人になってから、何回か転職したこともあり、心を許せる友人が近くにはいません。奥さんからは友人作りをいろいろとアドバイスされますが、なかなかうまく行きません。結構、このことで悩んでいた時期もありました。
そんなときにTwitterでは有名なTestosteroneさんのツイートに「社会に出て数年が経つとよっぽど社交的でかつ積極的に出会いを求めに行くような人でない限り友達も恋人もできません」とありました。自分だけではないのかもとかなり救われました。それ以来フォローさせていただいております。
社会人になると、立場上、年齢で、出会う人それぞれに上下関係(ときに利害関係)があることがほとんどです。更には学生のころとは異なり、自由になる時間が制約されています。だから、心を許せる友人を新たに作るのはハードルが高いのかもしれません。趣味といっても、なかなか・・・、という人が多いのではないでしょうか。
この映画の主人公は、社会的地位の高い、傲慢な医師です。しかしながら、息子のためではありますが、積極的に相手の内側に入り込み、貴重な友人を得ることができています。私も、嫌にならない程度ではありますが、少し積極的になろうかと思った次第です!