桜井画門のマンガ「亜人」を、実写映画化したものです。研修医の永井圭は、交通事故で死亡した直後に生き返ったのをきっかけに、絶対に死なない新人類「亜人」であることが発覚します。
奇抜な設定
「亜人研究施設に監禁されて非人道的な実験のモルモットにされた圭は、同じく亜人の男・佐藤によって救われますが、佐藤は国家転覆を狙い大量虐殺を繰り返します。同じ亜人として佐藤の思想に共感できない圭は、亜人と人類との戦いに身を投じていきます。」
死んでも必ず復活する、死ぬ時の痛みは感じる。設定が奇抜で非常に面白いです。この設定を考えついた時点で桜井画門さんはヒットすることは間違いない、と感じたのではないでしょうか。この手の興味深い設定はマンガが原作のことが多く、日本の文化はマンガに牽引してもらっている部分が多いです。
感想
何度殺しても復活するという亜人の特性を生かして、亜人・人体実験を繰り返す製薬会社の社長が、いかにも悪役という発言を繰り返すので、善と悪がわかりやすい構造になっています。
この社長が「新薬の開発には亜人が必要(動物実験よりも有意義なデータが得られる)で、亜人は死なないから倫理的にも問題ない、新型殺人ウイルスワクチンの早期開発には亜人実験が必須」(ひじきの想像です)などと人類のために善人のような発言していたのなら、状況はもっとカオスになっていたかもしれません。実際には映画の中でこのような発言はありませんが、現実の社会ではもっとひどいことをヒトは動物に対して日々実施しています。
機微考察 ~動物実験の是非~
医薬品の開発には、現在でももちろんマウス、ラット、ウサギ、更にはサルなど、多くの動物が、ヒトの健康という大義のために死んでいます。実際にその恩恵を多くのヒトが授かっています。サルがもう少し知能が発達して、数が増え、立場が逆転したのならば、ヒトがサルの健康のために命を犠牲にする日が来るかもしれません。「亜猿」をテーマにした娯楽映画ができるかもしれません。
設定の面白さは抜群であると感じるとともに、人間とは罪深い生物だと感じさせる映画でした。